2022/8/13「ルッツ 海に生きる」

f:id:akasetaro:20220813202959j:image

 マルタの漁師ジェスマークは、曾祖父の代から受け継ぐ漁船ルッツを駆り、生まれたばかりの息子と妻のため日々仕事に奮闘している。しかし、ルッツの船底に水漏れが見つかり、同時に息子の発育不良が明らかとなる。

 温暖化の影響もあり、不漁が続き経済的に追い込まれたジェスマークは、漁師としてはタブーの魚の闇取引に加担するようになる。

 子供のために不正に手を染めるようになった主人公が、最後には漁師を廃業し、国の再雇用制度を利用し7000ユーロを手にする。

 愛する仕事と船を失ったジェスマークが、悲しげな様子で、知人から借りた投げ釣の竿を海に投げ入れた場面で映画は終わる。

 環境問題への警鐘や、それによって追い詰められる地方の漁師たちの困窮問題などにスポットを当てた映画だったのかなと感じた。

 静かで淡々と描かれる映画だが、父親の身に感情移入し、最後まで身を入れて鑑賞することができた。